LIMEXの海外拡大を牽引する、グローバル人材への期待値

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山口太一|常務執行役員 CSO LIMEX事業本部 本部長 兼 デジタルソリューション室 室長
富士ゼロックス株式会社、プライスウォーターハウスクーパース株式会社を経て、2015年、株式会社TBMへ入社。2018年、執行役員CSO(最高経営戦略責任者)に就任。全社事業戦略、資金調達、大企業との資本・業務提携、海外事業開発、CirculeX事業およびデジタルソリューション等の新事業の立ち上げに従事。2022年よりLIMEX事業本部にて営業を統括。2023年、常務執行役員CSOに就任。

伊藤俊彦|LIMEX事業本部 グローバルセールスチーム マネージャー
大学卒業後、住友商事パワー&モビリティ株式会社(旧 住商機電貿易)へ入社し、輸出業務や新規事業開発に携わる。その後、日本電気株式会社(NEC Corporation)にてエジプトに駐在し、副所長として現地スタッフのマネジメントや営業活動に従事。2021年にTBMへジョインし、アライアンス戦略及び営業戦略立案からその実行まで幅広く担当。ベトナムの現地法人「TBM VN Co., Ltd」設立を主導するなど、東南アジア地域を中心にグローバル展開を牽引する。

目次

#1. LIMEX事業の海外展開の歴史

ー最初に、LIMEX事業の海外展開の歴史から教えてください。

山口:2016年にLIMEX製の名刺が誕生し、日本国内での販売を進めていましたが、我々の取り組みを海外のメディアに何度か取り上げていただく機会がありました。それを見た海外の企業から、石灰石を使用するというLIMEXの特徴に関心を持っていただき、自国の資源として石灰石を使用して、新たな産業を生み出したいという業務提携や輸入販売の問い合わせを多数いただきました。しかし、当時はまだ海外展開を推進する人材やリソースは十分ではありませんでした。

その後、事業成長と共に採用を強化して、2019年頃にはグローバルセールスの組織基盤を構築し、営業体制と並行して、ファブレスモデル*によるグローバルサプライチェーンの構築に注力してきました。

*ファブレス:「fabrication facility less」の略で、自社で工場を持たず、製造工程を他社に委託するビジネスモデル。

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ー本格的な海外展開はどのような国・地域から始まったのでしょうか。

伊藤:2020年からベトナムでLIMEX素材・LIMEX製品のOEMによる生産・販売を開始しました。そして2021年には現地法人である「TBM VN Co., Ltd(ティービーエム・ヴィーエヌ、以下 TBM VN)」を設立しました。

ベトナムを選定した理由は、LIMEXの主原料である石灰石が豊富に存在し、優秀なサプライヤーやコンパウンドメーカーが揃っている点にあります。また、ベトナムでは近年プラスチック産業の成長が著しい一方、ベトナム政府は環境問題対策として使い捨てプラスチックの使用制限の方針を掲げており、プラスチック代替素材であるLIMEXが参入していく市場としては適した環境でした。また、ベトナムは東南アジアの他国への物流アクセスの点でもメリットが多く、現時点では、海外でのLIMEX事業の顧客はアジア圏が一番多くなっています。

株式会社TBM - サステナビリティ革...
グローバル展開の強化を図り、 ベトナムに東南アジア初の現地法人「TBM VN Co., Ltd」を設立 - 株式会社TBM グローバル展開の強化を図り、 ベトナムに東南アジア初の現地法人「TBM VN Co., Ltd」を設立

ー東南アジア以外の展開状況はどうでしょうか。

伊藤:欧州や北米エリアにおいても、現地の販売パートナーと連携したセールス活動を進めています。ある国の販売パートナーは、NHK WORLDでLIMEXを紹介する放送を見てくださった代表の方から、「面白いからぜひ一緒にやりたい」という話をいただいた所から連携を開始しました。アジアの顧客はコストを重視するケースが強いですが、欧州や北米ではLIMEXの環境性能について評価いただき、現在では世界約10カ国での採用実績が生まれています。

ー色々な地域に広がっているのですね。LIMEX事業の創成期からこれまでの歩みを見てきた山口さんにとって、海外展開における特に印象的な出来事は何でしょうか。

山口:2021年に締結した、韓国の大手財閥であるSKグループとの大型の資本業務提携は、海外展開における大きなトピックの1つです。当時SKグループはESG領域におけるリーディングカンパニーを目指しており、サステナビリティ領域の事業への投資に関心を持っていた中で、多くの企業の中から我々のLIMEXに注目していただきました。現在は、SKグループのグローバル販路を活用した当社製品の販売における協業や、SKグループの化学素材大手SKCとJV「SK TBMGEOSTONE Co., Ltd(エスケー・ティービーエムジオストーン)」を設立し、生分解性素材の開発を推進しています。

モニター前右:代表取締役 CEO 山﨑、モニター前左:山口
株式会社TBM - サステナビリティ革...
TBMは、韓国SKグループの化学素材大手SKCと生分解性LIMEXの事業化を推進するJV「SK TBMGEOSTONE Co., Ltd」... TBMは、韓国SKグループの化学素材大手SKCと生分解性LIMEXの事業化を推進するJV「SK TBMGEOSTONE Co., Ltd」を設立

#2. グローバルにおけるLIMEX事業のポテンシャル

ー続いて、海外での主な導入事例を教えてください。

伊藤:インパクトが大きかった代表的な導入事例としては、世界のラグジュアリー業界を牽引するLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループの化粧品容器、そしてタイのコングロマリット「Berli Jucker Public Company Limited(以下BJC)」が運営する、タイの大手スーパーマーケット「BIG C」の買い物カゴなどがあります。

タイはコスト重視の国が多いアジア地域においても、特に環境意識が高い国の一つです。特に「BIG C」は環境への意識が高く、BJCのサステナブルイニシアチブの一環としてLIMEX素材を導入していただきました。

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世界のラグジュアリー業界を牽引するLVMH傘下のKENDOが展開する化粧品容器に石灰石を主原料とする「LIMEX P... 世界のラグジュアリー業界を牽引するLVMH傘下のKENDOが展開する化粧品容器に石灰石を主原料とする「LIMEX Pellet(射出成形グレード)」が採用
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タイの大手スーパーマーケットグループ「BIG C」が、石灰石を主原料とする「LIMEX Pellet」を使用した買い... タイの大手スーパーマーケットグループ「BIG C」が、石灰石を主原料とする「LIMEX Pellet」を使用した買い物カゴを採用

ーLIMEX事業の海外展開におけるポテンシャルをどう捉えていますか。

山口:マクロ的な視点からいくつか背景をお話したいと思います。まずは、地政学的なリスクや紛争によって、資源サプライチェーンが不安定化し、プラスチックの価格の先行きが見えにくい現状がある中で、日本を含む各国において自国資源活用の重要性が高まっています。 LIMEXは、世界中に豊富に存在する石灰石を主原料としており、日用品から産業資材まで幅広い製品を製造できるため、自国資源の活用という意味で非常に有力な選択肢となります。

また、世界中で脱炭素に向けた取り組みが加速している中、石灰石由来のLIMEXだけでなく、二酸化炭素を原料としたLIMEXを製造する技術開発も進めています。これはカーボンリサイクルという技術を使用しており、CO2を炭素資源と捉え、多様な炭素化合物としてリサイクルするものです。

具体的には空気中の二酸化炭素(CO2)と廃棄物に含まれるカルシウム(Ca)を活用して、石灰石の主原料である炭酸カルシウム(CaCO3)を生成し、これをLIMEXの原料として活用していきます。2024年1月のダボス会議では「CR LIMEX」として発表させていただき世界中から大きな反響をいただいています。

さらに、近年の円安により、LIMEXの輸出時における価格優位性が高まっています。対北米、欧州だけでなく、対東南アジアでも数年前と比較し3割程度の円安となっており、輸送費を加味しても多くの国で価格競争力が生まれやすい状況になっています。

LIMEXの世界展開を後押しする動きもあります。昨年TBMは、経済産業省によるインパクトスタートアップ 育成支援プログラム「 J-Startup Impact」に選定されました。社会的・環境的課題の解決と持続的な経済成長を共に目指す企業として、日本政府からもスタートアップの代表として、海外展開の拡大を非常に期待していただいています。

素材産業は世界で勝負しやすいカテゴリーだと考えています。実際に日系企業の大手化学系のメーカーでは海外売上比率が60%以上を占める会社も多く存在しています。TBMではこれから海外の売上比率を高めていく過程で、これから世界に広まっていく多くの可能性を秘めていると捉えています。

このように、新素材LIMEXを拡販する環境は十分に整ってきており、これからグローバルセールスを加速させていくフェーズに突入していきます。

LIMEXを、新素材というカテゴリーではなく、社会インフラとして必要不可欠な素材としての存在にし、各国で新しい産業を生み出していく視座で臨んでいきたいと思います。良い人材との出会いによって、この素材の持つ大きな可能性をさらに大きく成長させていきたいと考えています。

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TBM、経済産業省が運営するインパクトスタートアップ 育成支援プログラム「 J-Startup Impact 」に選定 - ... TBM、経済産業省が運営するインパクトスタートアップ 育成支援プログラム「 J-Startup Impact 」に選定

#3. グローバルセールスチームが担う役割と求める人物像

ーLIMEXの海外進出を進めているグローバルセールスチームは、具体的にはどのような取り組みをしているのでしょうか。

伊藤:我々のグローバルセールスチームが担っている役割は、大きく3つあります。まず1つ目は、海外市場におけるアライアンスパートナーを発掘し、共にLIMEXの販売およびプロモーションを推進していくことです。2つ目は、TBM自身が直接的な営業活動を行い、海外でのLIMEXの導入実績を積み上げていくことです。我々自身の実績で、販売パートナーが参画しやすい基盤を整えることが重要です。3つ目は、LIMEXが持続的に売れる仕組みや市場環境を構築することです。具体的には、海外のBtoBプラットフォームの活用や、LinkedInを通じた海外事業の情報発信などを行い、有効なインバウンドを増やす環境を整備しています。

グローバルセールスチームは、各メンバーが特定の地域や国を担当する体制で活動しています。つまり、各メンバーは自身が担当する地域のスペシャリストであると同時に、LIMEX製品に関する特性、製造プロセス、用途開発に関する専門的な知識や、製品の環境性能や各地域の規制対応など、幅広い知見を有することが求められます。

現在は、前述したベトナムの現地法人「TBM VN」を中心に、アジアの他国でも現地の販売担当者を配置し、 それ以外にも世界各国の複数の商社とも取引があります。中長期的には「TBM VN」の他にも、新たな法人拠点を立ち上げたいと考えています。

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ー今後さらに海外展開を加速させていく上で、どのような人材を求めていますか。

山口:これからLIMEXが展開する地域に関する深い知識を持ち、かつ製品やマーケティングにおいてプロフェッショナルなスキルを持つ人材を求めています。特に、現地法人の運営やマネジメントに長けた方、またメーカーでの経験を有する方は大いに歓迎です。もちろん、これから学んで成長していきたいという方も大歓迎です。

北米や欧州は日本から距離があり、マーケットの規模も広大であるため、代理店との連携も重視しています。そのため、代理店を活用した事業拡大の経験を持つ方にも、ぜひ加わっていただきたいと考えています。

また、海外企業との資本提携や共同開発も推進しているため、事業開発や国際的なアライアンス形成、各国の法務に精通した方にも大きな期待を寄せています。

ー最後に、未来の仲間となる方へ、メッセージをお願いします。

伊藤:地域や製品のスペシャリストの方はもちろん歓迎ですが、私自身は、異業種の電機メーカーからTBMにジョインしました。未経験の分野であっても、高い志と熱量があれば、海外展開を自身がリードしていける環境が整っています。新規開拓に情熱を注ぎ、未知の市場に挑戦したい方にとっては、これ以上ないチャンスが広がっています。

そして、有難いことに、来年1月からTBM VNへ現地代表として駐在をすることになりました。ベトナムから、TBMを2倍も、3倍も大きくしていきますので、一緒に働けることを楽しみにしています。

山口:LIMEX事業におけるグローバルセールスは、可能性が無限に広がる「ホワイトキャンバス」と言える、自らが新たな道を切り開くことができる環境です。未知の課題に直面した際にも、強い情熱と胆力を持って挑戦できる方と一緒に、新しい未来を築いていきたいと考えています。

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