
PPWRが変える競争のルール
製品の品質に自信があっても、包装が適用要件を満たさない場合、そのままでは商品をEU市場に投入できない可能性がある。そんな時期が近づいています。
「PPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation:包装および包装廃棄物に関する規則)」は、EUで2025年2月11日に発効し、2026年8月12日から要件ごとに順次適用される新しい制度です。
主な要件として、対象となるプラスチック包装における消費者使用後プラスチック廃棄物由来再生材の最低含有率、包装のリサイクル可能性、包装の最小化などが段階的に適用されます。
これからは、製品そのものの品質や性能だけではなく、「どのような包装で市場に届けるか」まで含めて企業の競争力が問われます。日本の輸出企業にとっても、包装が規制を満たせなければ欧州市場での販売に影響を及ぼす可能性があり、包装設計や再生材の調達を含む事業活動全体に影響を及ぼす規則です。
対応の遅れはEU市場での販売や取引に影響する可能性があります。一方、早期対応は取引継続や提案力の向上につながる可能性があります。 環境対応は今やCSRの枠にとどまらず、企業価値や競争力にも影響し得る経営課題へと変わりつつあるのです。

再生材活用に向けた「素材の課題」
こうした包装規制の強化を受け、企業が検討すべき課題の一つが「再生プラスチックの調達」です。
PPWRの再生材含有率要件は、消費者使用後プラスチック廃棄物由来の再生材を対象とします。一方で、再生材市場では、高品質な再生材全般への需要拡大を背景に、PIR材(Post-Industrial Recycled:製品の使用前に、生産・流通工程などで発生した端材等を原料とする再生材)の需給も逼迫しています。
日本国内には、再生材として活用の余地がある回収資源があります。 それがPCR材(Post-Consumer Recycled:消費者が製品を使用した後に回収されるリサイクル材) です。
家庭から回収される使用済みプラスチック由来のPCR材では、原料中の異種樹脂や食品残渣などの影響により、物性のばらつきや臭気などが課題となる場合があります。これらは製品用途を広げるうえでのハードルの一つとなってきました。
つまり、回収資源の活用可能性がある一方、品質の安定化が資源循環を進めるうえでの課題となっています。

回収されたプラスチックを産業資源へ。 独自技術による品質向上への挑戦
PPWRを契機に再生材への関心が高まる一方、PCR材の活用を広げるには、物性のばらつきや臭気といった品質課題への対応が欠かせません。TBMは、主に家具・家電、自動車、建築・物流資材などの産業用途への展開を見据え、高機能再生材「CirculeX(サーキュレックス)」を開発しました。
CirculeXでは、主に家庭から回収された使用済みプラスチックを原料として活用しています。
私たちは、素材開発で培った独自の配合・混練技術を活用し、PCR材で課題となりやすい物性のばらつきや臭気の低減に取り組みました。
その結果、家庭由来のPCR材でありながら、対象グレードでは、曲げ強度・シャルピー衝撃強度についてバージンプラスチックを上回る結果を確認しました。(※)また、対象用途に応じて臭気の低減にも取り組み、再生材の活用範囲を広げることを目指しています。
※算出方法:JIS K 7171(曲げ強度)およびJIS K 7111(シャルピー衝撃強度)に準拠した試験での評価結果(自社調べ)。物性値は代表値であり、保証値ではありません。
回収された使用済みプラスチックを、産業用途で活用可能な再生材へと転換する。CirculeXは、使用済みプラスチックの産業用途での活用に向けた選択肢の一つです。
PPWRをはじめとする規制強化を背景にPCR材への関心が高まっていますが、その活用可能性は包装分野だけに限られません。国内回収資源の活用は、原材料の調達先を多様化する選択肢の一つとなる可能性があります。 つまり、環境対応と原材料調達の多様化を併せて検討できる点に、意義があります。
こうした品質特性を活かし、CirculeXは、家具・什器の芯材、家電の底板・裏面・内部部品、自動車の内装材・足回り部品、建築・物流用樹脂資材などへの用途展開を見込んでいます。
製品としての性能と、事業上の活用可能性。その両方を追求した素材が、これからのものづくりを支えていきます。

「捨てる」から「調達する」へ。PPWR時代のサプライチェーン戦略
PPWRが示しているのは、「包装を変えましょう」という話だけではありません。
企業はこれから、「何をつくるか」だけでなく、「どんな資源を、どのように安定して調達するか」まで含めて競争力を問われる時代になります。
私たちが目指しているのは、国内で回収された資源を国内で循環させ、必要とされる産業へ安定的に供給する資源循環の仕組みです。
海外からの原料調達も活用しながら、国内で回収された資源を循環させる選択肢を広げています。また、LCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント)を活用し、製品ライフサイクル全体の環境影響を評価することで、環境負荷の低減と調達先の多様化を目指しています。
家庭から回収されたプラスチックが、次のものづくりを支える原料になる。そんな循環が広がれば、日本国内に眠る資源は、国内外のサプライチェーンにおける原材料調達の選択肢の一つになり得ます。
PPWRによって始まる新しい競争ルールの中で、問われるのは「どんな製品をつくるか」だけではありません。「どのような資源を使い、どのような循環の中で生み出された製品なのか」も、企業評価や競争力に影響する要素になり得ます。
資源を見る視点が変われば、ものづくりの未来も変わります。
私たちTBMは、国内資源を新たな価値へと転換し、日本発の資源循環が世界のものづくりを支える未来に挑戦し続けています。
TBMの資源循環への取り組みや「CirculeX」の詳しい技術情報については、公式サイトをご覧ください。
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