本記事では、前回の事業紹介コンテンツのPart2として「資源循環事業」について詳しくご紹介します。
「日本そして世界にインパクトを与える事業に携わりたい方」や「日本発の技術でグローバルに活躍したい方」「BtoBのビジネスや研究開発型のディープテック、ものづくりの分野で挑戦したい方」はぜひ最後までご覧ください。
#1. 資源循環事業
-そもそも、資源循環事業とは?
TBMはサステナビリティ革命の実現に向けた野心的な目標として「TBM Pledge 2030」を掲げています。2030年までに100万トンのLIMEXとプラスチックを50ヵ国で循環させることを目標に、国内で再生材を流通される資源循環プロデュース事業に力を入れて、再生材マッチングプラットフォームの「Maar再生材調達」を推進、リサイクルプラントを運営、そこで得た知見を今後、海外にも展開することを目指しています。
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#2. なぜ、プラスチックの資源循環が求められているのか?
・サーキュラーエコノミーの推進に向けて高まる期待
・プラスチックの資源循環を取り巻く環境
・グローバルで成長する再生材市場
-サーキュラーエコノミーの推進に向けて高まる期待
地球温暖化対策として、カーボンニュートラルを目指すことが求められています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、全体としてゼロにすることです。カーボンニュートラルを実現するためには、資源の消費を抑え、環境への負荷を減らすサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行が不可欠です。
日本でも、2000年に交付された「循環型社会形成推進基本法」により、長年にわたって「循環型社会」の形成が進められてきました。また、2018年に閣議決定された「第五次環境基本計画」では、地域ごとに資源を補完し合う「地域循環共生圏」の考え方が提唱されました。そして現在、次の「第六次環境基本計画」でも、資源を再利用することで環境負荷を減らす方向性が示されています。
一方で、経済成長と人口増加により、限りある資源を巡る世界的な競争が激化しています。特にコロナ禍やウクライナ情勢により、物資や資源の供給が制約される中、自国や近隣地域で資源を安定的に確保し、効率的に利用・再生することの重要性がますます浮き彫りとなりました。
資源循環を通じて、物資や資源の供給途絶リスクをコントロールし、「環境と成長の好循環」を実現する機運が高まっています。このような背景から、経済産業省は2023年3月に「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定しました。
日本は多くの資源を輸入に頼る「資源小国」であり、持続可能な形で資源を利用する循環経済への移行は、経済成長や産業競争力の強化に繋がる可能性があります。この戦略は、資源の効率的な利用と再生を推進し、日本の経済的な自立と環境保護を両立させるための重要な取り組みです。
-プラスチックの資源循環を取り巻く環境
2021年の日本のプラスチック廃棄物の処理状況は以下の通りです。
・リサイクル率:21%
・サーマルリカバリー率(廃棄物を焼却、熱エネルギーを回収すること):63%
・単純焼却:8%
・埋立:5%
現在、廃プラスチックの海外輸出が難しくなり、国内での処理が急務となっています。政府はこの問題に対応し、海洋プラスチックごみや、気候変動などの課題に取り組むため、2019年に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、2030年までにプラスチックの再生利用を倍増させる目標を掲げました。
また、「地球温暖化対策計画」では、廃プラスチックの焼却量を大幅に削減し、焼却によるCO2排出量も減らすことを目指しています。2024年6月に閣議決定を予定している「第5次循環型社会形成推進基本計画(案)」でも、プラスチックのリサイクルを強化し、最終処分される量を大幅に減らす方針を示しています。
-グローバルで成長する再生材市場
世界の再生プラスチック市場は、2023年の507.8億ドルから2030年には889.6億ドルに成長すると予測されています。また、「New Plastics Economy Global Commitment」(※1)に参加する企業のうち、プラスチック消費量の上位10社が掲げる2025年の目標を達成するためには、年間300万トン以上の再生材が必要になると見込まれています。
(※1)New Plastics Economy Global Commitment:2018年10月にEllen MacArthur財団と国連環境計画が提案した、プラスチック経済を再構築するための国際的な取り組み。世界中の企業、政府、その他の団体と連携し、プラスチック汚染の削減と持続可能なプラスチック経済の実現を目指している。
#3. 何をやっているのか
TBMの資源循環事業の取り組みは、4つの多角的な事業を柱に再生原料の調達や販売、リサイクル工場の運営やデジタルプラットフォームの提供をしています。
1.資源循環プロデュース
日本全国の100社以上のリサイクルパートナーと連携し、廃プラスチックのスクラップやペレットを買い取り、再生材料を必要とする企業へ販売しています。国内で年間約35,000トンの取引を行っています。
2.再生材マッチングプラットフォーム「Maar再生材調達」
再生可能なプラスチックの「売り手」と「買い手」をマッチングするプラットフォームを提供しています。約250社を超える取引先から得た知見と営業力を活かし、再生材を必要とする「排出元」と「調達先」を適切に結びつけています。
3.リサイクルプラント運営事業
汎用プラスチック(PP、PE、PSなど)とLIMEXを回収・選別し、再生利用する世界初のリサイクルプラント「横須賀サーキュラー工場」を2022年11月に完成させました。2023年4月から本格稼働し、プラスチック資源の受け入れ契約を獲得しています。再生技術を高度化し、付加価値の高い再生ペレットの生産を目指しています。
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社会に与えるインパクトの大きさ
TBMの資源循環事業が社会に与えるインパクトは大きく2つあります。
1.廃棄物処理に関する価値観の変化
私たちは、分別の徹底を強く呼びかけ、シングルストリーム方式、つまり資源ごみをまとめて回収し、選別・リサイクルを可能にする仕組みを実現しようとしています。これにより、資源循環ビジネスが3K(きつい、汚い、危険)ではなく、エクセレントカンパニーとして認識されることを目指しています。その結果、優秀な人材の増加にも繋がるでしょう。
2.再生材利用に関する価値観の変化
私たちは、安易なオーバースペックを避け、適切な品質と物性を追求することで、再生材が「安かろう、悪かろう」というポジションから脱却することを目指しています。この取り組みの結果、再生材を活用したい企業が増加することが期待されます。さらに、トレーサビリティを付与することで、再生材の価値向上を図っています。
#4. これからの事業展望
「再生」を産業の原動力にするというスローガンのもと、TBMは横須賀サーキュラー工場で高収率・高付加価値化を実現し、収益性の高いビジネスモデルを創出しています。この成功を他の拠点にも展開し、圧倒的な規模とスピードで推進していきたいと考えています。
また、業界にDXを活用したイノベーションをもたらすため、プラットフォームの社会実装も進めていく予定です。