*TBM VN Co., Ltd(以下 TBM VN)は、ベトナム社会主義共和国のハノイ市にある、TBMにとって初の東南アジア地域における現地法人です。
*業務内容は、インタビュー当時のものです。
#1. 国内外の営業活動を支える、SCM室・TBM VNの業務内容
ーまずは小関さんの担当業務について教えてください。
小関:SCM室の業務領域は購買・工場生産計画・原材料調達・物流の4つに大別されます。私が主に担当しているのは海外の購買活動で、特にベトナムからのLIMEX Pelletやインフレーション成形品の調達を行っています。また、SCM室のマネージャーとして、設定した重要業績評価指標(KPI)に基づいて日々の活動状況を管理し、目標に対する進捗度をマネジメントしています。
ーSCM室のKPIとしてどのような指標を設定しているのでしょうか?
小関:利益率、在庫回転率、原価低減率などの指標をKPIに設定しています。
SCM室はサプライチェーンの中で収益向上を担うチームです。
コストダウンのKPIは、調達価格や物流コストの削減が基本的な考えです。為替や原油・ナフサに由来する原料価格の変動など、さまざまな環境要因を考慮し、できるだけ安価に調達する方法を日々検討しています。直近は円安の進行や原油高の影響も相まってサプライヤーとの交渉に悪戦苦闘しています。物流においては、どのような輸送方法・保管方法であれば効率的にコストを抑えられるかを検討しています。
ー続いて、TBM VNのミッションについて教えてください。
Hai:TBM VNには大きく分けて3つの重要なミッションがあります。
1つ目はLIMEXを使用した袋製品の販売において、ベトナム側で完成品を製造し、日本へ輸出する役割です。袋製品は、現在のLIMEX事業において主力製品の1つなので、非常に重要な役割だと捉えています。
2つ目は、ベトナムの成形メーカーに対して、LIMEX素材を営業、販売し、顧客ニーズに合わせた様々な用途での使用を提案することです。
3つ目は、TBMの資源循環事業における再生材の海外取引です。東南アジアのリサイクラーから再生材を調達することや、中国の会社に輸出するなど、海外のリサイクラーとの連携もTBM VNがリードして担っている領域です。
また、LIMEX素材の新しい用途開発や、ベトナムでのパートナー開拓も進めています。
ーその中でHaiさんご自身はどのような役割を担当していますか?
Hai:TBM VNではSCM、品質保証、技術サポート、ロジスティクスなど、各メンバーの役割が明確化されています。そのため、各専門業務は各メンバーに任せて、私はベトナム法人の所長代理として全体を統括しています。
ベトナム法人のSCMについては、ロージーさんという女性の担当者が全てを管理してくれています。例えば、エンドユーザーからレジ袋の受注が入った時、製造委託先で製造したLIMEX Pelletを袋メーカーへのデリバリー管理を彼女が担当しています。
伊藤:TBM VNが立ち上がる前は、この仕組みがなく、お客様にご不便をおかけすることもありました。しかし、ベトナムを拠点としたビジネス機会を活かすために、ベトナム法人の設立を社内で意思決定し、私が設立の推進担当を務めました。
ただ、2021年のベトナム法人の立ち上げ当時はコロナ禍で現地に行けず、採用活動も含め全てリモートで実施しました。大変なことも多かったですが、立ち上げ後は海外営業のサプライチェーンがスムーズに構築できたため、現地で立ち上げをサポートしてくれたTBM VNメンバーには感謝をしています。
*TBM VN立ち上げ背景の詳細は、以下プレスリリースをご参照ください。
#2. 海外ビジネスを推進する、円滑な連携体制を構築
ー日本のTBM本社と現地法人のTBM VN、それぞれのSCM機能はどのように連携されているのでしょうか
小関:日本市場向けの成形品をベトナムで製造する際に、材料となるLIMEX PelletをTBM VNが現地の成形品メーカーに供給するのですが、このLIMEX Pelletの製造からデリバリーまでをTBM VNのSCM担当がハンドリングしてくれています。また、第三国への輸出などにおいても、決済・情報・物流のハブとして機能してくれています。
ー営業チームであるLIMEX事業本部は、ベトナム法人とどのような連携をしているのでしょうか。
伊藤:LIMEX事業本部の海外営業チームの主な役割は、海外企業からLIMEX Pelletや袋製品など完成品の受注を獲得することです。
そのために必要な情報は我々もTBM VNからも取得できるので、LIMEX事業本部・SCM室・TBM VNはほとんどストレスなく連携ができていると思います。
もちろん立ち上げから今日に至るまで、改善を重ねて確立されてきた部分もありますが、立ち上げ当初からジョインしてくれているSCMのロージーさんは、以前から日系企業でSCM領域の業務を担当されていて、その経験と知識を基にTBM VNが自走できる体制を構築してくれました。
#3. 世界のプラスチック包装を支えるベトナム市場を拠点に
ー前職時代から資材調達や製品の輸出入などに従事されてきた小関さんから見て、TBMのサプライチェーンにおける特徴はどこだと感じていますか?
小関:日本のメーカーが中国から物を調達するのが一般的な中で、TBMは海外でものづくりを決めた初期から、ベトナムを主なサプライチェーンの拠点として選んだことが特徴的だと思います。
ベトナムを選んだ理由は、LIMEXの主原料である炭酸カルシウムの産出が豊富であり、人件費、インフラ、生産設備などのバランスが取れていたことが挙げられます。近年のベトナムではプラスチック産業の発展が著しく、今後も更なる成長が予想されているなど、その成長速度は目を見張るものがあります。
ー Haiさんは、ベトナムでのビジネスの可能性をどう見ているのでしょうか
Hai:私は入社前から、ベトナム市場には、TBMのビジネスを拡大する多くのチャンスがあると考えていました。
ベトナムはプラスチック包装の主要輸出国であり、米中間の商業活動の移動により、ベトナムが新たな目的地としてプラスチック包装への投資が進んでいます。これにより、TBMのビジネス拡大の可能性も大きいと見ています。既に、TBM VNはTBMの海外ビジネスのサプライチェーンの中枢として機能しています。
#4. 目指すべきは、地産地消を実現するグローバルサプライチェーンの構築
ーTBM VNを拠点とした現在の海外のサプライチェーンについて伺ってきましたが。小関さんが考える、SCM室の今後のビジョンについて教えてください。
小関:事業エリアの拡大に併せた各地域でのサプライチェーン構築を目指し、地産地消を実現することで経済的かつ合理的な生産と販売を行いたいです。
樹脂業界ではサプライチェーンが非常に局地的で、消費地と生産地が隣接している傾向があります。
TBMがよりグローバル展開を加速させるためには、各国・各地域でサプライチェーンを構築し、TBM VNのようにサプライチェーン、セールス、開発を各地域内で機能させることが不可欠だと考えています
LIMEXは世界中に豊富に存在する石灰石を使用しており、地産地消の実現を目指している素材でもあるので、世界各地に拠点を持ち、最適なサプライチェーンを構築したいと考えています。
ー壮大なビジョンの実現に向けて、どのような人と一緒に挑戦したいですか
小関:グローバルのサプライチェーン構築はまだまだ発展途上であり、多くの課題があります。この過程は難しいですが、だからこそ非常にエキサイティングな経験の連続です。そのため、完成している組織での活動ではなく、「市場」「製品」「会社」「制度」を一緒に作り上げていくことに対して、前向きに志向する人と一緒に挑戦していきたいです。