
世界の自動車市場を揺らす「ELV規則」。暮らしの裏側で起きている、静かなルール変更
生成AIに質問を投げかければ、わずか数秒で答えが返ってくる時代。文章を書き、画像を描き、コードを生成し、膨大な情報の中から必要な答えを引き出す——少し前まで未来の話だったことが、次々と私たちの日常になりつつあります。
「AIが世界を変える」という言葉を、耳にする機会も増えました。
では、なぜTBMは、これほどAIに注目が集まる時代に「素材」と「製造」という領域に挑み続けているのでしょうか。
AIをはじめとする最新テクノロジーが社会に広がるほど、それを現実世界で支える電力、データセンター、建築、物流、製造設備、そして素材への需要も大きくなっていきます。
そこには大きな事業機会が生まれる一方で、エネルギー消費や資源制約、CO₂排出、廃棄物といった課題も大きくなります。
TBMが素材と製造技術に挑み続けるのは、この「需要」と「課題」の両方に、大きな可能性があると考えているからです。
TBMはこれまで、石灰石を主原料とするLIMEX、CO₂を資源として活用するカーボンリサイクル素材、使用済みプラスチック由来の再生材CirculeXなど、さまざまな素材や資源循環の事業に取り組んできました。
一見、AIとは離れた領域に見えるかもしれません。
しかし、スマートフォンも、データセンターも、自動車も、住宅も、物流を支える包装も、私たちの身の回りにあるものは、すべて何らかの素材からつくられています。
AIがどれほど進化しても、情報だけで建物や製品をつくることはできません。新しい技術を現実の価値へ変えるためには、電力や設備、工場、そして素材が不可欠です。
AIが「情報の世界」を大きく変える技術だとすれば、GX(グリーン・トランスフォーメーション)は、エネルギーや素材、製造、資源循環といった「現実世界の仕組みそのもの」をつくり変える挑戦です。
TBMが見つめているのは、まさにその変化です。
私たちは、多様な資源の可能性を引き出し、実際に使われる素材へ変え、社会に広げ、そして循環させていく。そこまでを産業として成立させたいと考えています。

AIの成長が、「現実世界」への投資も大きくする
世界では今、AIだけでなく、エネルギーや製造、インフラ、重要鉱物など、「現実世界」を支える領域への投資も拡大しています。
IEA(国際エネルギー機関)の試算によると、2025年の世界のエネルギー投資額は3.3兆ドルに達する見通しです。そのうち、再生可能エネルギーや原子力、送電網、蓄電、省エネ、電化などへの投資は約2.2兆ドル。電力需要を押し上げる要因の一つとして、データセンターやAIの拡大も挙げられています。
実際、2024年にはBlackRock、Global Infrastructure Partners、Microsoft、MGXが、AI向けデータセンターと、それを支える電力インフラへの大規模な投資構想を発表しました。
シリコンバレーを代表するVCの一つ、Andreessen Horowitz(a16z)も、「American Dynamism」という領域で、製造、エネルギー、サプライチェーンなどへの投資を進めています。
こうした動きが示しているのは、AIの進化がソフトウェアの世界だけで完結するものではない、ということです。
AIを社会で使えば使うほど、電力や設備、物流、製造、素材といったリアルな産業基盤が必要になります。
一方で、需要が増えれば、必要になる資源も増えていきます。
UNEPの「Global Resources Outlook 2024」によれば、世界の天然資源の採取量は過去50年間で約3倍に増加しています。これからの成長を支えながら環境負荷を抑えていくためには、限られた資源をより有効に使い、循環させていくことが欠かせません。
つまり、これから問われるのは「どれだけ多くつくれるか」だけではありません。
何を資源として使い、どうつくり、どう使い、どう次の資源へ戻していくのか。
そこに、新しい産業をつくる大きな余地があると私たちは考えています。

素材は、発明しただけでは広がらない
ただし、素材の世界には、ソフトウェアとは異なる難しさがあります。
どれほど優れたアイデアが生まれたとしても、すぐに世界中へ届けられるわけではありません。
研究室で数グラムつくったものを、工場で何トンも生産する。設備や原料が変わっても、同じ品質を保ち続ける。用途ごとに異なる性能や安全性、加工条件を満たす。顧客の生産ラインで問題なく使えることを確認し、安定供給の体制を整える——。
そのひとつひとつの段階に、時間と資金、設備、そして多くの関係者との協力が必要です。
「研究としては成功していても、量産できない」
「量産できても、価格が合わない」
「価格が合っても、既存の設備で加工できない」
「加工できても、長年使われてきた素材から切り替えてもらえない」
技術が生まれてから社会に広がるまでの間には、こうした幾重もの谷があります。しばしば「死の谷」と呼ばれるものです。
しかし、私たちはこの難しさを素材ビジネスの弱点だとは考えていません。
むしろ、この難しさを乗り越える力そのものが、素材企業の競争力になると考えています。
素材事業には、技術開発だけでなく、製造、品質、供給体制、用途開発、顧客との関係構築など、多くの要素が必要です。
簡単には真似できず、一朝一夕では追いつけない。
だからこそ、素材を発明するだけでなく、量産し、顧客に届け、継続して使われる状態までつくることができれば、それは長く産業を支える力になります。

私たちが磨いてきたのは、「資源の可能性を産業へ変える力」
LIMEX。カーボンリサイクル素材。CirculeX。そして、これから生まれてくる新しい素材たち。
一見すると別々の事業に見えるかもしれませんが、私たちの中ではひとつにつながっています。
それは、石灰石や回収資源、CO₂由来の原料など、多様な資源の可能性を引き出し、新しい用途や組み合わせを生み出しながら、実際に社会で使われる素材へ変えていくことです。
そのために私たちが磨き続けてきたのが、「配合・混練・成形」という技術です。
少し専門的な言葉ですが、簡単にいえば、性質の異なる原料を組み合わせ、求められる性能を持つ素材へ変え、実際の製品として形にしていくための技術です。
ただ、TBMが目指しているのは、素材を開発するところまでではありません。
資源の可能性を引き出して素材へ変える。
量産する。
品質を安定させる。
新しい用途をつくる。
社会へ届ける。
そして、使い終えた後には回収し、再び資源として循環させる。
私たちは、素材の開発から量産、品質保証、用途開発、販売、回収、再資源化までをつなぎ、資源循環を産業として成立させる会社を目指しています。
発明することと、産業をつくることは同じではありません。
どれほど優れた素材であっても、工場で安定してつくれなければ社会には届きません。十分な量を供給できなければ市場は広がりません。そして、使う人や企業に選ばれなければ、環境負荷を減らす可能性も広がりません。
さらに、使い終えた素材を回収し、もう一度資源として活用する仕組みまでつなぐことで、資源循環を一過性の取り組みではなく、持続的な産業へ近づけていくことができます。
だからこそ私たちは、技術の新しさだけではなく、それを「使われ続ける仕組み」にするところまで取り組みたいと考えています。

GXは、環境だけの話ではない
GX(グリーントランスフォーメーション)という言葉を聞くと、CO₂削減や環境保護を思い浮かべる方も多いかもしれません。
もちろん、それらは重要です。
ただ、GXは同時に、
「どの国がエネルギーを安定して確保できるのか」
「どの企業が限られた資源を有効に使えるのか」
「誰が新しい素材や製造技術を量産し、世界へ供給できるのか」
という、産業競争力や事業機会にも関わるテーマです。
AIをはじめとする新しいテクノロジーが広がれば、世界で必要とされる電力や設備、製品も増えていきます。当然、それを支える素材や資源への需要も増えていきます。
だからこそ重要になるのが、単に「より多くつくること」ではなく、限られた資源をより有効に使い、環境負荷を抑えながら必要なものを社会へ届け、使い終えた後には次の資源へ戻していくことです。
そこに、GXの大きな事業機会があります。
そして、AIとGXは対立するものではありません。
AIは、素材探索や研究開発、製造工程の高度化などを通じて、現実世界の技術革新を速める可能性があります。材料科学の世界でも、AIを使った新しい材料の探索や設計が進んでいます。
一方で、AIが社会に広がるためには、それを動かすエネルギーや設備、素材、製造技術が必要です。
AIが情報の世界を進化させ、素材や製造が現実世界を進化させる。
この二つがかみ合うことで、社会の変化はさらに大きくなっていくと私たちは考えています。
AIの進化は、素材や製造の価値を小さくするものではありません。
むしろ、テクノロジーが社会に深く浸透するほど、それを現実世界で支える素材や製造技術の重要性は高まっていきます。
そして、その成長を持続可能なものにするためには、資源の使い方も同時に変えていかなければなりません。
私たちがつくりたいのは、単に新しい素材が一時的に注目を集める未来ではありません。
研究室で生まれた可能性を工場へ。
工場で生まれた製品を、社会へ。
社会で役目を終えたものを、次の資源へ。
その循環を産業として成立させ、社会に根づかせていく。
それが、TBMが目指していることです。
AIの時代だからこそ、素材と製造には新しい需要が生まれる。そして、その需要をより持続可能な方法で満たしていくことに、大きな可能性がある。
TBMは、そこに挑み続けます。
単に素材をつくる会社ではなく、資源の可能性を素材へ変え、量産し、広げ、循環させることで、新しい産業の基盤をつくる会社へ。
それが、私たちの考える未来のつくり方です。
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