「EUの使用済み自動車(ELV)規則」は障壁か、それとも勝機か。世界の自動車市場を揺さぶる、ルール変更への生存戦略

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世界の自動車市場を揺らす「ELV規則」。暮らしの裏側で起きている、静かなルール変更

いま、世界では年間1億台近くの新車が販売されています。また、日本国内では、2023年の自動車製造業の製造品出荷額等が約72兆円に上るなど、自動車産業は世界と日本の経済を支える巨大産業です。その自動車産業が、いま大きな転換点を迎えています。

そのきっかけとなっているのが、EUの「使用済み自動車(ELV)規則」です。

ELV規則は、自動車の設計・製造から使用後の回収、廃棄、リサイクルまで、車両のライフサイクル全体を通じて資源循環を促進するための制度です。

2025年12月にEU理事会と欧州議会が暫定合意し、2026年6月には欧州議会とEU理事会が規則を正式採択しました。さらに7月24日にはEU官報に掲載、8月13日に発効され、2028年9月1日に施行される予定です。

各車両型式に使用されるプラスチックについて、規則の発効から6年後には少なくとも15%、10年後には少なくとも25%を再生プラスチックとすることなどが定められています。さらに、その再生プラスチックのうち、少なくとも20%は使用済み自動車などから回収されたプラスチックを使用することが求められます。

つまり、自動車メーカーは「環境に配慮するために再生材を使う」という段階から、「要求される品質の再生材を安定的に調達できること」が競争力の一つになる時代へ向かっているのです。

これまで当たり前だった「作って、使って、捨てる」という一方向のものづくりは、いま大きく姿を変えようとしています。

「環境対応」から「新たな競争力」へ。動き始めた新ルールがもたらすビジネスの勝機

一見すると、この規制は自動車メーカーにとって大きな負担に映るかもしれません。

しかし私たちは、この変化を、次の成長を生み出すビジネスチャンスでもあると考えています。

これからは、規制に対応するだけでなく、高品質な再生材を安定して調達し、限られた資源を有効に活用できること自体が、企業の競争力につながると考えられるからです。

環境への配慮と、産業としての経済合理性を両立しながら、持続可能なものづくりを実現できる企業ほど、新たな市場で優位性を築く可能性があります。

国内有数の処理能力を誇るリサイクルプラント、横須賀サーキュラー工場

品質か、循環か。そのジレンマを乗り越える高機能再生材「CirculeX」 

とはいえ、自動車は、簡単に素材を置き換えられる製品ではありません。

長年にわたって構築されてきたサプライチェーンに加え、人の命を預かる製品だからこそ、使用する素材には厳格な性能基準が求められます。

例えば、自動車部品には、高い耐衝撃性や耐久性、安定した品質、長期間にわたって安心して使用できる信頼性など、さまざまな性能が必要です。

さらに、内装部品では車内空間の快適性も重要であり、臭気の少なさなども素材の採用を左右する要素となります。

こうした厳しい要求性能に対応するため、現在も自動車用途では、製造工程で発生した端材などを原料とするPIR材が再生材として活用されています。

一方、消費者が使用した後に回収されるプラスチックを原料とするPCR材は、原料の状態や構成が一定ではなく、臭気や性能のばらつきが生じやすいことなどから、自動車用途への採用には課題があると考えられてきました。

「再生材を使いたい。しかし、品質は妥協できない。」

こうした課題の解決を目指して開発したのが、TBMの高機能再生材「CirculeX(サーキュレクス)」です。

TBMは、独自の配合・混練技術と洗浄プロセスを組み合わせることで、使用済みプラスチック由来のPCR材が抱える品質上の課題の改善に取り組んでいます。

代表グレードでは、当社試験においてバージンプラスチックと同等以上の強度を確認しました。また、臭気についても、従来の容器包装プラスチック由来のPCR材と比較して約40%低減しています。(※)

こうした性能向上を通じて、自動車内装部品や構造部品などへの適用可能性を検証しています。

CirculeXは、単なる環境配慮型素材にとどまらず、将来の規制への対応と、高品質な再生材の安定調達を支える新たな選択肢となることを目指しています。

※自社調べによる代表値であり、試験条件、用途、グレードなどによって異なります。

TBMが開発した高機能再生材CirculeX

世界で高まる再生材需要。その時代に求められる供給インフラ

ELV規則の施行を見据え、高品質な再生プラスチックの確保に向けた動きは、自動車産業を中心にさらに広がっていくと考えられます。

需要の拡大とともに重要になるのは、「必要なときに、必要な量と品質の再生材を安定して供給できるか」という点です。

海外からの輸入だけに依存するのではなく、国内で資源を回収し、国内で再生し、国内のものづくりへ供給する。

こうした循環型の供給体制は、環境負荷の低減だけでなく、国際情勢や原材料価格の変動などによる資源調達リスクに備える観点からも、その重要性を増しています。

その供給基盤となるのが、神奈川県横須賀市にある「横須賀サーキュラー工場」です。

国内最大級の規模を有するリサイクルプラントとして、2026年7月現在、量産体制の構築を進めています。

優れた技術を、誰もが当たり前に使える社会インフラへ。

発効を迎えたELV規則は、自動車産業に新たな課題をもたらす一方で、資源循環を前提としたものづくりへの転換を後押しする大きな契機でもあります。

TBMは、家庭などから回収される使用済みプラスチックを、次の産業を支える資源へと変え、高品質な再生材を安定して供給できる基盤を構築することで、日本のものづくりにおける新たな競争力を支えていきます。

詳しい取り組みについては、TBMコーポレートサイトでもご紹介しています。

▼高機能再生材「CirculeX」ページはこちら

▼TBMのコーポレートサイトはこちら

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