「CO₂は排出するもの」が変わる日。建設・不動産業界の未来を拓く、カーボンリサイクル「CCU」の現在地

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「削減」から「資源として活かす」へ。建設・不動産業界でCCUが注目される理由

 建設・不動産業界では今、「何を建てるか」だけではなく、「何で建てるか」が企業の競争力を左右する時代が始まっています。

建物のデザインや性能だけではなく、使用する建材がどのような資源からつくられ、ライフサイクル全体でどのようなCO₂排出量や環境影響を持つのか。その視点が、建物の評価基準として世界的に重視され始めています。

欧州では建物のライフサイクル全体での環境影響の開示制度が進み、日本でも建築物のLCA(ライフサイクルアセスメント)の活用や情報開示に向けた制度整備が進められています。

こうした変化の中で、建材に使われる素材そのものが新たな「評価軸」となりつつあります。その選択肢の一つとして期待されているのが、CO₂を資源として活用する「CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)」です。

CCUとは、工場などの産業プロセスで回収したCO₂を原料として、燃料や化学品、建材などに利用する技術です。CO₂を「排出するだけのもの」ではなく、新たな資源として循環させる考え方が、世界中で広がり始めています。

排出されるCO₂と産業副産物(カルシウム)を組み合わせ、新たな資源として建材へ生まれ変わらせるプロセスのイメージ

なぜ世界の企業は、CCUに投資し始めたのか?

今、この領域への投資が拡大している背景には、建設分野で求められるLCA対応や資源循環への期待があります。しかし理由はそれだけではありません。企業の競争力を左右する調達安定性や、今後強化される制度への対応にも貢献できる技術だからです。

欧州では2030年から、すべての新築建物を対象に、ライフサイクル全体での地球温暖化影響の算定・開示が義務化されます。日本国内でも国土交通省が2028年度を目途に、一定規模以上の建築物に対して、建設から解体までの全工程におけるCO₂排出量の算定・報告の義務化に向けた制度設計が進んでいます。

原材料の調達から製造、流通、そして廃棄・リサイクルに至るまで、環境への影響を科学的に評価する「LCA(ライフサイクルアセスメント)」の視点は、これからの建築・建設における重要な評価軸になろうとしています。

建物は、一度建てれば何十年も使われます。だからこそ、これからは「どんな建物を建てるか」だけではなく、「どんな素材で建てるか」が建築価値や競争力に直結する時代です。

さらに、CCUは、この業界が抱える地政学リスクへの対応、すなわち原材料の調達安定性や価格変動リスクの低減にも貢献する可能性があります。

従来の建材や環境配慮型素材(例えば一部の木材や海外依存の低炭素素材など)は、国際情勢の変化や物流の分断、エネルギー価格の高騰などの影響を受けやすく、供給や価格が変動するリスクを抱えています。その点、国内で回収したCO₂を炭酸カルシウムなどの資源へ転換するCCUは、資源調達の選択肢を広げ、サプライチェーンのレジリエンス向上にも寄与することが期待されています。

このようにCCUは、LCAへの対応や資源循環の推進に加え、調達安定性や価格変動リスクへの対応など、多面的な価値を提供できる技術として注目が高まっています。

単なる環境配慮にとどまらないCCUの多面的な価値。

「CO₂」を「床や壁」に変える。建材分野で進むCCU活用

世界でCCUの社会実装が進む中、日本でも建材分野への展開が始まっています。その代表例の一つがTBMの取り組みです。 

産業プロセスで回収したCO₂を、カルシウムを含む産業副産物と化学反応させることで、「炭酸カルシウム」が生成されます。この炭酸カルシウムを床材や壁材などの建材原料として活用することで、回収したCO₂を製品へと利用しています。

TBMが商用化した床材には、コア層の約70%にCCU由来の炭酸カルシウムが使用されています。これにより、床材1㎡あたり約2.7kgのCO₂をコア層に固定しています。

この床材は、CCU由来の炭酸カルシウムを活用することで環境性能を高めるだけでなく、高い耐久性や施工性、ライフサイクルコストの低減といった実用性も備えています。

  • 高い耐久性の実現: 高い剛性と0.7mmのクリア層により、凹みや傷が付きにくく、張り替え頻度の低減につながります。 
  • 工期短縮とコスト削減: 接着剤を使わないクリックジョイント式を採用しているため、施工や撤去が容易で、工期短縮や原状回復の負担軽減に貢献します。また、高い耐久性によって更新回数を抑えられることから、30年モデル試算では一般的な塩ビタイルと比べライフサイクルコストを約26%削減すると試算されています。 

環境性能と実用性を兼ね備えているからこそ、CCU建材は建設現場の生産性やライフサイクルコストの改善にもつながる製品として関心を集めています。   

CCU由来の炭酸カルシウムを原料としながら、天然木の豊かな表情や重厚な石目を美しく再現した床材の施工イメージ

LCA時代を支える新たなものづくりへ 

LCA開示や資源循環への要請が高まり、建設・不動産業界を取り巻く制度や市場環境が大きく変化する中で、この変化は日本にとって新たな成長機会となる可能性を秘めています。

TBMは、長距離輸送によるCO₂排出を抑えるため、CO₂の回収地点の近くで資源化まで行う「地産地生」のモデルを構想しています。原材料の調達から製造、配送までを含めたサプライチェーン全体の最適化を目指す取り組みです。

この現実的な課題解決へのアプローチは、世界経済フォーラムのホワイトペーパーで紹介されたほか、アジア最大級のイノベーションカンファレンス「SusHi Tech Tokyo 2026」のステージ床材にも採用されました

日本には、素材技術や製造技術という強みがあります。排出事業者、素材メーカー、建設会社、不動産会社など、多様なプレーヤーが連携することで、CO₂を「排出するだけのもの」ではなく、「循環利用できる資源」として活用する社会が現実のものになろうとしています。

その変化は、意外にも私たちが毎日歩く床の上から始まるのかもしれません。

CO₂を資源として活用するという発想は、環境価値だけではなく、資源循環やものづくりの競争力、新たな産業の創出にもつながる可能性を秘めています。

だからこそ重要なのは、技術を生み出すことだけではありません。それを社会で使われる製品として実装し、新たな価値へとつなげていくことです。

私たちが毎日歩く床から始まるその挑戦は、建設・不動産業界だけでなく、日本のものづくりの可能性を広げていくかもしれません。

TBMが取り組むCCU(カーボンリサイクル)事業の詳細は、当社ウェブサイトをご覧ください。

▼カーボンリサイクル事業ページはこちら

▼TBMのコーポレートサイトはこちら

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