事業を取り巻く環境法規制や地政学的な調達リスクへの対応策:TBMの「カーボンリサイクル事業」とは

  • URLをコピーしました!

TBMは、GX分野のディープテックスタートアップです。10,000社以上に導入実績がある環境配慮型素材の事業で培った素材技術や知見を生かし、現在はCO₂を資源として再利用するCCU(カーボンリサイクル)事業を行っています。 最先端技術を活用し、CO₂を固定化した建材などの製造・販売を通じて、環境規制への対応や脱炭素化を模索する企業の課題解決に貢献しています。 

▼ Index

原油価格高騰と迫る法規制

中東情勢の緊迫化やホルムズ海峡の封鎖懸念に伴う原油価格の高騰は、国内の原材料調達環境に重大な影響を及ぼしています。実際に、国内の主要な樹脂メーカー各社はポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの石油由来プラスチック原料を35%〜40%以上値上げしているケースもあり、製品加工メーカーにおいても20%〜30%以上の価格改定に踏み切らざるを得ない状況に直面しています。

このように地政学的リスクによる影響を強く受け、価格が変動する国外の資源に依存し続けることは、日本企業の原料調達に関する経営課題としてだけでなく、国家の経済安全保障の観点からも、早急な対策が求められる課題です。 

こうした原料コストの不安定化に加え、各種業界において、企業のサプライチェーン全体に対する環境規制が各国で進んでいます。例えば、世界のエネルギー起源のCO₂排出量のうちの37%を占めている建設部門(建物の運用および建設)では、これまで建築分野の脱炭素化は建物の運用段階における省エネ(オペレーショナル・カーボン)に焦点が当てられてきました。

しかし、建物の高断熱化や設備の高効率化が進むにつれ、建材の原材料調達から製造、施工、解体、リサイクル、廃棄に至るライフサイクル全体で排出される「エンボディド・カーボン(内包炭素)」の削減が世界的な課題となっています。 こうした状況を背景に、EUでは2024年に「建物のエネルギー性能指令(EPBD)」が改正され、2030年からすべての新築建物を対象にライフサイクル全体での地球温暖化係数(GWP)の算定・開示が義務付けられました。

日本においても、建築物のライフサイクルカーボン評価制度を盛り込んだ改正法案が2026年7月24日に国会で可決され、一定規模以上の特定用途建築物について、 CO₂排出量の評価結果等の届出を義務付ける制度が設けられる予定です。

こうした環境規制への対応は、建設業界のみならず、自社オフィスや店舗、工場を構えるすべての企業にとって、サプライチェーン排出量削減の観点から避けて通れない課題となりつつあります。 

排出されるCO₂を価値ある資源に変える「カーボンリサイクル技術」

この地政学的リスクと環境規制という二つの課題に対する解決策として期待されているのが、カーボンリサイクル技術(CCU:Carbon Capture and Utilization)です。CCUとは、本来大気中に排出されるはずであった気候変動の原因物質であるCO₂を回収し、新たなモノづくりの「資源」として捉え、建材などの製品の原料として再利用する技術を指します。

国際エネルギー機関(IEA)の予測では、2070年の世界的なカーボンニュートラル達成において、CO₂の回収・有効利用・貯留(CCUS)技術による排出削減への貢献度は約19%に達すると報告されており、CCUは重要な技術の1つとして位置づけられています。

この温暖化の原因となるCO₂をモノづくりの原料へと転換する技術は、企業の環境規制への対応手段となるだけではありません。地球上に普遍的に存在するCO₂を活用することで、原油価格の高騰や為替変動といった調達リスクの低減や、コスト構造の安定化に寄与することも可能です。

こうした背景もあり、富士経済の市場予測によると、CO₂利活用製品の世界市場規模は、2050年までに約71兆円規模に成長すると言われています。

なぜ、TBMがカーボンリサイクルを担うのか

では、この技術的参入障壁の高いカーボンリサイクル事業に、なぜTBMは取り組んでいるのでしょうか。

TBMはこれまで、石灰石を原料とした環境配慮型の新素材「LIMEX(ライメックス)」事業を通じて、10,000社以上の企業や自治体へ環境配慮型素材を導入し、環境対応および石油をはじめとする輸入資源への依存低減を推進してきました。 

LIMEXの原料は、地球上に豊富に存在する石灰石、すなわち「炭酸カルシウム」です 。一方で、カーボンリサイクル技術において、回収したCO₂を長期にわたり安定的に固定化する方法の一つが、カルシウム含有廃棄物等とCO₂を反応させ、人工的に「炭酸カルシウム」を生成する「炭素鉱物化」と呼ばれる技術です。

TBMはLIMEX事業を通じて培った、炭酸カルシウムの粒形コントロール技術や、無機物を多様なプラスチック樹脂と均一に配合・混練し、成形加工する技術に関する250を超える特許基盤を確立してきました。この独自の技術アセットがあるからこそ、TBMは化学合成されたCO₂由来の炭酸カルシウムを用途に応じて物性を制御し、単なる化学材料の段階に留めることなく、実用的な製品へと応用・展開することができます。

排出されるCO₂と廃棄物に含まれるカルシウムを化学反応させ、炭酸カルシウムを製造するプロセス

天然の石灰石を活用して資源自律に貢献してきたTBMが、今度は大気中へ放出されるはずだったCO₂を活用し、人工の炭酸カルシウムへと資源化して社会に実装する。この事業展開は、これまでTBMが積み上げてきた技術基盤を活かした事業展開であり、それが現在のスピーディーな製品の商用化に繋がっています。

政府のカーボンリサイクルロードマップを15年前倒しての商用化

事実、TBMは経済産業省の「カーボンリサイクルロードマップ」における、従来の汎用バージンプラスチックの代替となるカーボンリサイクル製品の普及開始時期(2040年頃)を15年前倒しする形で、2024年12月にCCU炭酸カルシウムを使用した低炭素素材の上市を達成しています。

プレスリリース:TBM、カーボンリサイクル技術を用いた低炭素素材「CR LIMEX」の販売を開始

現在は、当時からさらに多くのカーボンリサイクル製品を上市しており、その一つが、東京都主催の「SusHi Tech Tokyo 2026」のステージでも採用されたカーボンリサイクルSPC床材です。TBMが開発・提供するこの床材は、そのコア層(芯材)の約70%をCCU炭酸カルシウムが占めており、製品全体の約32%が回収されたCO₂で構成されています。

弊社のカーボンリサイクル床材が使用された「SusHi Tech Tokyo 2026」のステージ



この床材の利点は、CO₂を原料とすることによる炭素固定や、従来の塩化ビニル製床材と比較したエンボディド・カーボンの削減といった環境効果に留まりません。一般的な樹脂床材と比較した際の高い剛性と耐摩耗性、さらに、裏面にクッション層を備え、接着剤を使用せずにクリック式で強固に接合・施工できるため、施工現場の工期短縮や、空間の高寿命化に貢献するといった機能性を持ち合わせています。

この床材を採用することで、機能性で妥協することなく、業界の環境規制への対応が可能であると同時に、国外から輸入に依存する資源ではなく、CO₂というどこにでも存在する資源を活用することで価格の安定性や調達安定性にも貢献します。

また、TBMは素材や製品の製造販売だけでなく、カーボンリサイクル業界におけるルールメイキングにも携わっています。同社が事務局を務める資源循環推進協議会を通じて、グリーン購入法における特定調達品目の「判断の基準」に、カーボンリサイクル技術を活用した製品を要件化することを求めた提言が、経団連の「2025年度規制改革要望」に盛り込まれました。

公共部門が初期需要を創出する仕組みを整えることで、日本全体における技術確立や早期の低コスト化、社会普及の牽引を目指しています。

カーボンソリューション企業としての今後の展望

TBMは、素材開発のビジネスから始まり、時代のニーズを見据えて事業を多角化してきました 。現在は、これまで蓄積された技術知見や事業アセットを結集し、カーボンリサイクル事業と、もう一つの柱である高機能再生材「CirculeX」事業へ経営資源を集中させています 。

CirculeXは、家庭用プラスチックごみなどのポストコンシューマーリサイクル(PCR)材を原料に、独自の配合・混練技術によって物性低下や臭気の課題を対応し、バージンプラスチックと同等以上の強度を実現した高品質な再生プラスチック素材です。

カーボンリサイクル製品の社会実装やプラント建設による「地産地生」モデルの構築と、このCirculeXの安定供給という二つの取り組みを推進することで、世界の炭素・資源循環のインフラを担う「カーボンソリューション企業」としての歩みを加速させていきます。世界的な環境規制や地政学的リスクへの対応が最重要課題となる中、TBMは炭素を企業の競争力となる資源へと昇華させ、持続可能な経営を支えるパートナーとして貢献します。 

本オウンドメディア「Times Bridge Media」では、今後、皆様が直面する脱炭素・調達等の課題にタイムリーに応えるため、カーボンリサイクルや再生材に関する国内外の最新の法規制動向、業界トレンド、技術解説などの専門性の高い情報を、定期的に分かりやすく発信していきます。変革期を乗り超えるための確かな情報源として、ぜひ今後の発信にもご期待ください。

▼カーボンリサイクル事業ページはこちら

▼高機能再生材「CirculeX」ページはこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
▼ Index