
TBMでは、新たな資源循環を創造する、「Maar(マール)」という事業を展開しています。そのひとつが、デジタルプロダクトパスポート(DPP)に適応した再生材調達を支援するプラットフォーム「Maar 再生材調達」です。このサービスを担当する、Maar事業部の五十嵐さんに、事業に懸ける熱い思いを聞きました。 ※2025年1月時点
#1. 「社会課題✕事業開発」の仕事をしたい
──五十嵐さんは2022年5月の入社。前職は東急ですね。
2018年に新卒で東急に入社して、研修期間にホテルマンや駅員を経験し、旅行部門で販促や管理会計等の店舗運営業務を経験した後、社内起業制度で新規事業の実証実験の推進を行ってきました。
TBMには、2022年の5月に入社し、オフィス等の事業所を対象とした法人向けの資源循環サービス「MaaR for business」のグロースを担当しました。2024年1月からは、再生材調達を支援するプラットフォーム「Maar 再生材調達」を自身が主導して立ち上げ、プロジェクトのリーダーとしてサービス拡大に挑戦しています。
──入社前から資源循環や環境問題に興味はあったんですか。
まったくなかったです(笑)。大学の専攻は観光学で、元々はまちづくりがしたかったんです。自分が携わった街に色々な人が訪れて、楽しそうにしているのを見るのは、やりがいがあるだろうなと思っていました。
ただ、前職で、会社に言われたのではなく自分たち主導で新規事業を開発する経験をして、どうせやるんだったら、楽しませるだけでなく、しっかり社会課題の解決に繋がることを仕事にしたい。だから、社会課題を解決する事業開発をしていきたいという思いが強くなりました。TBMのことは転職エージェント経由で知ったのですが、まさに「社会課題✕事業開発」の会社だという印象を受け、応募したという経緯です。
──いずれにしても、気候変動や資源循環に関する問題意識はTBMに入ってからキャッチアップしていったということですね。
はい。TBMに入って、環境問題について何らかの原体験を持っている人も多いですが、私の場合は本当に何もなかったところからのスタートです。
私自身は、もともと、起業家のように自分主導でなにかを企画するというより、企業や誰かがやろうということに共感して自分ゴト化していくタイプだと思っています。TBMに入ったからには、「サステナビリティ革命を起こす」という会社のミッションを自分のミッションと位置づけています。そして、そうと決めると、どんどんのめり込むタイプなんです。
ただ、最近は、自分自身で「Maar 再生材調達」を立ち上げ、責任者として事業を自分ゴト化することで、マインドセットも変わってきました。また、事業成長に対し、プレッシャーはあるものの、その責任や期待の大きさにやりがいを感じるようになりました。

#2. 自ら立ち上げたサービスの挑戦とやりがい
──2024年1月に「Maar 再生材調達」を主導して立ち上げ、プロジェクトのリーダーとしてサービス拡大に挑戦している五十嵐さんですが、具体的にはどのような業務を担当していますか。
現在は、イントレプレナー(社内起業家)としてオーナーシップを持ち「Maar 再生材調達」のPMFに向けて、戦略策定/サービスのブラッシュアップ、導入拡大に向けた法人営業や連携パートナー開拓、外部登壇に加えて、営業チームとの連携や採用業務といった体制構築等、幅広く担当しています。
また、本サービスの一機能として提供するデジタル・プロダクト・パスポート(DPP)機能(今後、製造業において必須となる可能性が高い環境性と循環性の可視化が目的の取り組み)について、日本における適切なルールメイキングを行い、サービス拡大にも役立てる必要があります。そこで、TBM主導で立ち上げた一般社団法人資源循環推進協議会にて、DPPについて検討するワーキンググループを立ち上げ、運営の主導もさせてもらっています。
──幅広い業務を担当されているのですね。どんな場面でやりがいを感じますか。
本サービスの成長に対する自分自身へのプレッシャーや責任が、やりがいに繋がっていると感じています。サービスをPMFさせ、成長させることへの責任はもちろんですが、自身が責任者として、他の起業家や大企業の部門長等に混じってピッチや講演をさせていただくことや、採用活動にも携わるようになり、責任の大きさととももにやりがいを感じています。幸いにも、東京都の事業の一環であるソーシャルエックスアクセラレーションにて審査員特別賞受賞や、デジタル田園都市国家構想の推進を目指したJAPAN DX Player Awardにてサステナブル部門1位を受賞する等、いくつか表彰をいただいたことは、1つの実績として嬉しく思っています。
──このサービスの現在の課題は何ですか。
現在の「Maar 再生材調達」で取り扱える再生材は、既に再資源化され、リサイクルされているものが多く含まれています。そちらの方がビジネスとして短期的にメリットを出せることはあるのですが、本サービスの「再生材を使ったものづくりをあたりまえに。」というビジョンを考えると不足を感じています。
今後は、今は社会的にリサイクルが困難で、焼却に回っているものも対応できるようにして、再生材の市場を広げることをしていきたいと考えています。そのためにも再生材の需要を確立するとともに、再生材売買の取引をスムーズに行える土台として、「Maar 再生材調達」を普及させていくことを目指します。
具体的な取り組みとしては、現在愛知県豊田市と連携をして、エリア内の「Maar 再生材調達」への登録促進をすることで、これまでは再生材の量の観点で経済性が合わず焼却に回ってしまっていたものを、エリア毎に登録が増えることで少量であってもルート回収をすることで効率的に回収できる可能性を探っていく実証実験を予定しています。

3. 資源循環のトップランナーを目指して挑戦すること
──今後は、どのようなことに挑戦していきたいですか。
「Maar 再生材調達」を経由して取引をすることの付加価値を増加させることに挑戦していきます。2024年10月から、本サービスのデータベースに登録される多くの再生材の中でも、TBM独自の基準に合致したものをプレミアム再生材というブランドをつけて販売を開始しました。そういった基準作りを強化していくことに併せて、TBMとして品質保証をすることや、トレーサビリティの担保をしていく体制構築をより強固にするべく、様々な可能性を探っているところです。
──TBMでの仕事を通じて5年後、10年後にこんな社会をつくりたい、といったイメージはありますか。
「個人においても資源循環が当たり前の世界」をつくっていきたいです。そのためには、ただリサイクルがいいことだからやっていきましょう、という声がけや啓発だけでは足りないと思っています。ビジネスとして再生材を利用することがルールになることも重要ですし、さらにビジネス上、再生材活用に各社の実利が出ることが求められると考えています。
そうなることで社会の構造が変わり、しっかりと循環すべきものが循環する体制が敷かれ、各個人にとっても資源循環が当たり前になると思っています。5年後といわず、もっと早いのかもしれませんけど。
あとはTBM=LIMEXの会社という印象がまだまだ強いと感じているので、「TBMは素材だけでなく、資源循環の会社」という認知も広げることで、資源循環のトップランナーとして社会への良い影響を出していきたいと考えています。