奥 利朗|LIMEX事業本部 プロダクトソリューションセールス部 シートチーム マネージャー(※2024年8月時点)
新卒で繊維商社の三共生興株式会社に入社し、繊維カンパニーに配属。海外ブランドのライセンスビジネスや、国内外のブランド商品の取引、輸出入業務、レディースアパレル・子供服・通信販売向けのOEM生産およびODM提案に従事。2016年2月にTBMに入社し、LIMEX事業本部で真空成型やシート、インフレーションの用途開発に参画。現在はチームのマネージャーとして、LIMEXを用いた付加価値提案による案件創出と用途拡大に取り組む。
江澤 尚樹|LIMEX事業本部 プロダクトソリューションセールス部 シートチーム(※2024年8月時点)
大学在学中に不動産登記法を専攻し、不動産周りの利権に興味を持つ。その後ハウスメーカーに入社し、土地探索と、プラン・見積りの作成、住宅ローンの手続き、簡単な許認可申請等を担当。2016年4月にTBMに入社し、LIMEX Sheetを中心に完成品・原反販売に従事。現在は外食業界、種苗業界、サイングラフィック業界にアプローチし、用途の拡大・展開に取り組む。
#1. 異業種からの転職。
ものづくりスタートアップのTBMに入社を決めた理由
ー前職のご経験とTBMへの入社を決めた理由について教えてください。
奥:前職は、繊維商社に新卒入社し、営業職として40歳まで勤務しました。主に百貨店ブランドの子供服や婦人服のOEM生産を行っていました。
転職を考えたきっかけは、繊維業界の動向に不安を覚えたことからでした。市場成長の機会がどんどん安い方へと移転し続ける、焼畑農業的なスタイルのモノづくりに疑問を感じたのです。
そうした中で、日本発の新素材で世界で勝負するTBMを知って、これはチャンスだと思いました。入社した2016年当時、TBMはまだメディアへの露出も少なく、無名の存在でした。不安もありましたが、「飛び込んで来てほしい、一緒に挑戦しよう」という社長の言葉に背中を押され、入社を決意しました。
江澤:私はハウスメーカー出身で、住宅のBtoB営業を行っていました。やりがいを感じていたのですが、27歳で一通りの業務ができるようになりルーティンワークのようになっていました。「1回きりの人生、もっと新しいことにチャレンジしたい」と思っていた中、TBMを知り、日本発のモノづくりにこだわっている点に感銘を受け選考に申し込みました。
一次面接で、採用担当者に「次の社長との面接では、もっと熱く語ってください」と言われました。1次面接でも熱意は伝えたつもりでしたが、より熱い気持ちを伝えるために宮城県の白石工場で働く人に会いに行きました。二次面接は一次面接から3日後だったこともあり、アポも取らずに外で作業していた人に声をかけるなどして話を聞きました。面接時に社長にその話を伝えると、「一緒に頑張っていこう」と言っていただき、入社することとなりました。
#2. 名刺から始まった、LIMEX Sheetの進化
ーTBMの在籍歴が長いお二人ですが、入社された2016年、LIMEX Sheetはどのような状態でしたか?
奥:私が入社した2016年2月は、まだLIMEXが販売間近の頃で、ラボで実験して出来たLIMEX Sheetのサンプルがあった程度でした。
その後、LIMEX Sheetが産声を上げ、2016年6月に初のプロダクト「LIMEX名刺」の販売を開始しました。当時は、名刺がくっついて印刷がはがれてしまったり、印刷の品質が良くないなど、トラブルによりお客様にご迷惑をおかけすることも多々ありました。ただ、トラブル対応により営業活動を止めるのではなく、お客様には「1か月で改善する」と説明をして、製品の改良と営業を同時に行う日々でした。
江澤:当時は「提案しては止まって」を繰り返す、テストマーケティング状態でしたね。
奥:大変だったのは事実ですが、開発の苦労の末にようやく製品ができたのだなと日々実感していたので、製品を”売れる喜び”の方が大きかったですね。
ーこれまでに、LIMEX Sheetで印象的だった技術面の進歩について教えてください。
江澤:常に改良をしつづけて、徐々に品質が良くなっていったという印象ですね。当初は品質が不安定で、様々な課題がありましたが、2017年にディップ株式会社との営業連携を行ってからは、改良のスピードが上がり、質の高い製品をお客様に届けられやすくなった記憶があります。今では合成紙を扱っている印刷会社であれば、遜色なく扱える品質になった印象です。
奥:2022年から2023年にかけて、薄物シートのラインナップが加わったのは大きかったですね。当初のような厚いシートだけでは、「紙代替」と受け入れられにくい部分もありました。しかし、無機物を高充填しているシートを引き延ばすことは、高難度の技術が求められるため、薄物シートの開発から販売までは約2年ほどかかりました。
江澤:確かに、LIMEX Sheetは、重量比で50%以上が無機物にも関わらず、薄く均一に混ざっている点は評価されますね。ラップを例にすると分かり易いですが、非常に薄くても高性能のものが多いです。あれだけ薄くして品質を安定させることは、本当に努力の結晶だと思います。
ー最近、営業で力を入れている業界や用途はありますか。
奥:直販営業からレバレッジを効かせたく、卸業での営業に注力しています。用途としては、薄物シートの開発によって参入できるようになった、ラベルや屋外メディアの領域です。他にも用途は増えているので、もっと拡販していきたいですね。
江澤:これまでの飲食業界だけでなく、園芸や種苗のラベルに力を入れていきたいと考えており、実際に生産農家さんにも足を運んでいます。現場を見ながら、LIMEX Sheetを使用したラベルの使い方についてアドバイスなどもしています。
あとはタペストリーですね。飲食業界はじめ、商品訴求に多く使われていますが、現行品からLIMEX Sheetに切り替えることで、コスト面・環境面共にメリットが見出せることが多くなってきました。
#3. 環境性能だけでない、LIMEX Sheetへの評価
ー長年LIMEX Sheetの営業に奔走されてきたお2人ですが、実際にお客様からはどのような点が評価されていますか?
江澤:第一に「環境配慮型」である点ですね。LIMEX Sheetが、世界で枯渇するリスクに晒されている水資源をほぼ使用せずに、紙代替製品を製造できる価値を最大限伝えるようにしています。
奥:環境面の評価は伝わりやすいですね。LIMEX製のクリアファイルなどのプラ代替品も、石油由来プラスチックの使用量を削減できることをはっきり伝えるようにしています。そうした環境負荷の低減効果を見える化*をしていて、製品の一つ一つに、LIMEXを使用したことでどれだけの資源保全に貢献できているかを表記できることも、大きな差別化になっているのです。
*TBMでは、製品開発の際に重要な物差しとして、原材料の調達〜処分までのライフサイクル全体で、CO₂を含む温室効果ガスの排出量をどれだけ削減できるのかをライフサイクルアセスメント(LCA)という評価手法によって可視化しています。
江澤:シートの機能面も評価されています。例えば、吉野家のメニュー表は、従来は紙にPP貼りをされていましたが、端から水が浸入すると割けてしまうこともありました。しかし、LIMEXに替えてからはそうした問題が解決されました。
奥:最近では、価格面でも評価いただく場面が増えてきています。石油価格の高騰により、ラミネート加工の値段が上がっていますが、価格が安定している石灰石由来の炭酸カルシウムを使用しているLIMEXは、販売初期と比べて値段が下がり、価格競争力も高まってきています。
ー色々な視点から評価されている中で、印象的だった導入事例はありますか。
江澤:個人的には、何と言っても、ハンバーグやステーキ等のグリルメニューを中心としたレストラン「ビックボーイ」に、LIMEX Sheetのメニュー表を全国の店舗に採用していただいた事例です。全国展開の店舗に採用いただいた第1号の案件であり、さらにメニュー表としても初の採用事例となりました。
面談時に先方の社長から、「色味や質感に課題はあるけれど、環境に配慮しているという点で、この素材を使う意義がある」とお言葉を頂きました。ただ、当時のLIMEX Sheetのメニュー表は厚みが足りず、メニュースタンドに立てかけても倒れてしまう状態だったものを、各店舗の店員の皆様がメニュー表が立つように、工夫して使ってくださっていました。
コロナ禍で飲食業界が打撃を受けていた時期に取引は一旦ストップしていましたが、2023年にコロナ禍が明けてから再度提案に伺い、昔よりも低コストで提案できた点を評価いただいて、今年の5月からの再導入に至りました。先方は当時と同じご担当者様でしたが、今では色味などの質もコストも問題ないとコメントをいただいています。
#4. 自社工場の稼働最大化へ、困難も前向きに乗り越える仲間を求めたい
ー長年の経験からお二人が感じる、LIMEX Sheetの営業のやりがいについて教えてください。
江澤:飲食店への展開を進めていますが、実際に、各店舗のお客様がLIMEX製のメニュー表を手に取り、触れている姿を目にした時は、LIMEXが身近に普及してきていることを実感でき、やりがいに感じられる瞬間です。
奥:一般的に素材メーカーは、商社や代理店などの中間商流に製品を営業を販売するビジネスモデルです。しかし、TBMは、「1年で10年分の成長」を目指しているので、スピード感を持って、自分たちで新しい市場を開拓して突っ込んでいく。これをやりがいだと感じる人、「新しい業界の人に出会えて楽しい」と思える人は向いていますね。
江澤:私はTBMに入社してから9年目ですが、名刺を4,500枚程度所持しています。単純計算で1年で500枚以上、1日1枚以上は名刺交換をしている事になります。LIMEXの提案を行うために商談に臨み、これだけの人との交流と営業機会を持てる営業職はそうそういないと思います。
ー東北LIMEX工場の製造・生産管理と連携して、自社工場の稼働最大化という、重要ミッションも背負っていますよね。
奥:これまでは2015年完成の実証プラントの白石工場でも生産を行ってきましたが、その生産機能を量産プラントである多賀城工場に集約していきます。そして多賀城工場の名称も「東北LIMEX工場」に変更しました。
今後は東北LIMEX工場の製造を強化することで、世の中でLIMEX Sheetの認知をさらに拡げていきたいです。LIMEX Sheetは、その厚さから「特殊紙」と比較されるケースも多くありましたが、今は薄く品質も優れた製品を低コストで生産できるようになりました。より多くの市場に普及する準備が整っています。
ーミッションの達成に向けて、どのようなマインドを持った仲間を増やしていきたいですか?
奥:新たな業界の顧客を拡大するために、様々な場所に営業に行くことを楽しめる人が向いていると思います。さらに、変化に適応する力や、課題解決に積極的に取り組む姿勢を持つことも求められますし、挑戦に積極的な人が適しています。
江澤:新しい業界への営業に挑戦し続けていると、日々課題が出てくるので、その変化する環境自体を一緒に楽しめる方は適職かなと思います。
LIMEXは新素材ということもあり、まだ何にでも代わる万能な素材ではないからこそ、営業自らがお客様の求める仕様やLIMEXの可能性を探りにいき、開発から製品ローンチまで、ディレクションする力が求められます。TBMメンバーは志が高いからこそ、大きな壁にぶつかることもあります。そこで「できなかった」と卑下するのではなく、次のことを考えて前向きに挑戦し続けられる人と一緒に働きたいです。